About me
2005年に中国初渡航、2010年より中国一人旅を始め、短期長期含めおよそ50回ほど渡航を繰り返し2019年8月に四川省宜賓市移住。 転機は2018年夏、8年間勤めた会社を退職し叶えた、38日間中国周遊旅行。ビザのトラブルでしばらく四川省に滞在することになり、しかしその結果四川に恋をする。それまでは中国どの地域にも思いは平等だったが、もう四川以外考えられずに海を渡り、現在に至る。


 

 

初めての宜賓の夏

5月の初めに労働節を迎えた頃から、こちらはもう大変な暑さでした。ここへ越す前、宜賓は四川南端で重慶にも近いから蒸し暑いよ、そんな話を聞いていましたが、やはり夏の訪れも早いのでしょうか。

 

もともと美意識が欠如した私のことで、もうすっかり真夏の肌。

これではこれからの季節が思いやられるなぁなんて悩みながらも一方で、ここで元気いっぱいに商売をするおじちゃんおばちゃんのように、冬になっても白い肌に戻らないほどの真っ黒さを目指し、突き抜けてみようか。そんなことも検討中の、宜賓初夏でございます。

 

 

私は宜賓で日本語を教えています

前回の記事で有名だか無名だかわからない、と申しましたが、私はそんなこの場所で日本語教育に携わっております。コロナウイルスの影響を受け、どうなることかと心配になりましたが、5月下旬から、それでも進路を決めた学生から次々と報告が入り始めました。

 

先日、広東の大学に進学を決めた学生がこちらへ戻り、会ったときのことです。

学生:「宜賓、暑すぎる!」

私:「広東はもっと暑いよ。大丈夫?」

学生:「広東はそれよりも、辛い物がないんじゃないかって心配してる…」

 

と、さすが四川人、心配するのは麻辣な四川料理。

こころの中では「多分、四川人の肥えた舌を満足させるような麻辣なんてないんだろうな…」と思いつつも、そんなことは言えません。

「大丈夫、火鍋ならきっとあるはずだよ」すると彼女は、「広東の火鍋、おいしいかなぁ…」とやっぱり浮かない表情。私は彼女に、大量の唐辛子と花椒を持っていくようアドバイスしたのでした。

 

宜賓での食生活「燃麺」編

 

四川料理の基本はいうまでもなく麻辣が中心。宜賓に暮らしていれば、もう宜賓食通。美食三昧と思いきや、実はけっこう節約した生活をしております(笑)

一体、何を食べておなかと心を満たしているのか。それは「麺料理」。

 

日本でも最近知名度が上がってきた宜賓燃面

 

日ごろ大変お世話になっているのが、

宜賓名物 「宜賓燃麺(イービンランミェン)」です。

宜賓では定番すぎるほどの定番ではありますが、宜賓生活をお伝えするならば、やはりこれに触れないわけにはいきません。

 

麺屋のメニューはこんな感じです。

 

宜賓燃麺とは?

麺をあえるためにたっぷり油を使用、麺に火をつけたら引火する。だから、燃える麺というわけです。歴史は古くさかのぼり孫文の辛亥革命が起きた清朝末期(1911年頃)、当時は叙府燃面(シュイフーランミェン)と呼ばれていたそうです。今では叙府から宜賓に名は変わり「宜賓燃面」となりました。

 

宜賓燃麺の詳細についてはこちらへ

発祥の地で食べる宜賓燃面!100年受け継がれた伝統の味

 

本場の宜賓燃麺、四種類の食べ方

宜賓燃麺の食べ方は大まかに四つあります。

 

  1. 燃麺(肉なしの燃麺)
  2. 葷燃麺(肉ありの燃麺)
  3. 燃湯麺(スープありの燃麺)
  4. 燃抄手(燃ワンタン)

 

まずは一番オーソドックスなのが、肉なしのシンプルな燃麺です。

混ぜる前の宜賓燃麺

 

宜賓特産の芽菜と砕いた落花生、それから葱を、まるで三つ葉のように見た目も美しく盛り付けたその外観が、まずひとつの特徴。それをこのように豪快に混ぜておいしくいただく、日本流にいうと油あえ麺です。

 

混ぜた後の宜賓燃麺

 

味のポイントとなるのが、日本の高菜を想起させるような、黒くて辛くしょっぱい芽菜(ヤーツァイ)。それに、こりこりとした食感の落花生が、満足感を与えてくれます。

一見まるで辛くないかのように見えるかもしれませんが、唐辛子もしっかり効いています。

一口二口食べてみても、そうがつんとくるような辛味はありません。しかし、半分も食べないうちに額に汗が浮かんでくるのは不思議な感覚で、これがなかなかくせになります。

 

注文時お店の人がたまに「唐辛子いる?」と訊いてくれますので、辛味を抑えることもできます。ただ、痛いような辛さはないので、現地の味そのままで食べるのがおすすめです。

 

そぼろありが葷燃麺

さて、麺屋のメニューを見ると、宜賓燃麺の下にはたいてい葷燃麺というものがあります。こちらは肉ありの燃麺。

※四川では葷(フン)は肉を指します。

 

 

実は宜賓の燃麺にはもともと肉が入っていません。(成都はデフォルトで肉ありです)。やっぱり肉がなきゃ、とそんな方にはこちらがおすすめ。肉なしとの価格差も1元(16円)程度。

 

芽菜、落花生、葱に、割って入るようにそぼろ肉が盛り付けられています。私もたまにこれを食べますが、正直に言いますと、宜賓燃麺とそう変わらない?というのが感想。

 

肉は芽菜と落花生の存在感を前にして、完全に引き立て役に、とそんな気がしている今日この頃です。

 

まさかのスープあり!燃湯麺とは?

宜賓に越してしばらく、燃麺と牛肉麺、どちらにするか迷う日々が続きました。というのも、私がもともと愛するのは湯麺、つまりスープ麺だったからです。

スープ麺の牛肉麺はこちらでは一两(小サイズ)が8元(130円)前後。これに対して燃麺は若干安く、5元から7元程度です。
価格は燃麺が勝つ。味も大好きだ。…しかし今日は牛肉麺にしよう。結局はそんなふうになる日も少なくないのでした。

 

しかしそんなある日、ちょっと麺屋さんへ入ってみると。「燃湯麺」の文字!!!!!!!

 

 

まさか宜賓で汁なし麺の玉座におわす燃麺に、スープ麺があるとは思ってもいませんでした!

 

これはまるで私のために用意されたメニューのようだ、と試しに頼んでみると、やっぱり燃麺に違いありません。芽菜に落花生に肉、その上に葱。けれどもこちらは見るからに辛そうな真っ赤なスープ。

辛味をそう感じないのに辛い燃麺とは対照的に、こちらは一口一口がひりひりと私を攻撃し、感想は「痛い」。。。あれは秋口のことでした。おいしかったものの、あれ以来リピートすることもなく今日に至っております。

 

麺だけじゃない、ワンタンだって燃える!

このように、私の食生活に貢献する宜賓のど定番、燃麺をご紹介してまいりましたが、最後にもうひとつお付き合いくださいますと嬉しいです。

 

私が以前四川を頻繁に訪れるようになった頃、成都で夢中になったのが、四川式ワンタン、抄手(チャオショウ)でした。

 

 

 

現地では麺と同様の位置づけで、主食のひとつにあたります。そして、月見うどんと月見蕎麦が選択可能なように、宜賓には麺を抄手と交換できるお店が少なくありません。私が頻繁に行く麵屋さんにも「+1元で抄手にできます」と、こういった文言がメニューに書かれています。

 

大好きな抄手、では燃麺の抄手版はどんなものかと頼んでみると、やっぱり芽菜に落花生に葱。これをまた豪快にひっくり返し混ぜていただきます。

 

 

燃麺とは自由にあるべき

一言に燃麺といっても、表情はさまざま。しかし、さまざまな表情がありながら、どのお店も「燃麺とはこうあるべきだ」という基本は揺るぎません。

 

宜賓市街地を歩けば燃麺のない通りはないというほど、あちらこちらで出会うことのできる料理です。いろいろと食べ比べたものですが、おいしくないお店にはいまだ出会ったことがありません。

 

宜賓へお越しの際は、ぜひ目に入ったそのお店に入ってみてください。その食べ応えに驚くこと間違いなしです。

 

宜賓燃麺をご紹介しようと長々と文字を並べてまいりましたが、どうもおなかが空いてたまりません。夜まで開いている麵屋を求めて街まで出ようか、それとも明日の朝まで待とうか。迷いに迷う、今。20時を過ぎ、外はもうそろそろ黄昏時を迎えようとしております。

 

燃湯麺が食べれるおすすめの麺屋「李琴麺館」

最後に、本文でご紹介した燃湯麺のお店はこちらです。白沙湖公園すぐ近く、開発区で少し僻地感がありますが、この白沙湖周辺も賑わいスポットとして現在開発が進み、とても綺麗な場所です。

 

この辺りの麺屋はみなそうなのですが、午後になるとどんどん麺が売り切れて夜はご飯ものだけになってしまいますので、ご注意を。

 

宜賓燃麺

店名:李琴麺館

営業時間:朝6時半から夜9時まで

住所:四川省宜賓市翠屏区新楼路51号

http://www.dianping.com/shop/k1PACJtss4DuhBkc

 

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中川正道
中川正道、1978年島根県生まれ。四川師範大学にて留学。四年間四川省に滞在し、四川料理の魅力にはまる。2012年にドイツへ移住。0からWEBデザインを勉強し、フリーのデザイナーとしてドイツで起業。2017年に日本へ帰国。「人生の時を色どる体験をつくる」をテーマに妻の中川チカと時色 TOKiiRO 株式会社を設立。
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