四川料理の中、「水煮魚」「酸菜魚」「豆瓣魚」「沸騰魚」など、魚を使った料理が数多くあります。
海から離れている四川地域は、もちろん海水魚ではなく、川魚を使うのはほとんどです。
今回は四川料理によく使われるお馴染みの川魚を10種類ご紹介します。
1.コクレン
中国語の標準名:鱅【yōng、ヨン】
四川地域の呼び方:花鰱【huā lián、ホゥア・リィェン】
紹介:中国の「四大家魚」の1つ。地方名に「大頭魚」、「黒鰱」、「胖頭魚」、「包頭魚」、「黑鰱」、「麻鰱」、「雄魚」がある。中国特有の魚である。ハクレンによく似るが、体色に黒みがあり、全身に黒い雲状の斑紋が広がっている。中国では華南を中心に、幅広い範囲で養殖池で養殖されている。
よく使われる四川料理:水煮魚、酸菜魚、干鍋魚、魚火鍋など
2.ハクレン
中国語の標準名:白鰱【bái lián、バイ・リィェン】
四川地域の呼び方:白鰱【bái lián、バイ・リィェン】
紹介:中国の「四大家魚」の1つ。地方名に「水鰱」、「跳鰱」、「鰱子」がある。鱗は細かく、体色は白銀。頭が大きく、眼は顔の下の方に付く。性格はせっかちで、白波を立てて飛び跳ねる習性がある。中国で養殖と出荷量が多く、小骨が多いが、食感が柔らかくて各種の料理に用いる。
よく使われる四川料理:水煮魚、酸菜魚、魚火鍋など
3.ソウギョ
中国語の標準名:草魚【cǎo yú、ツァォ・ユー】
四川地域の呼び方:草魚【cǎo yú、ツァォ・ユー】
紹介:中国の「四大家魚」の1つ。地方名に「鯇魚」、「鯇魚」、「油鯇」、「草鲩、「白鯇」、「草根(东北地方)」、「厚子魚(山東省の南地方)」、「海鲩(中国南地方)」、「混子」、「黑青魚」がある。体長は1mあまりで、体は黄青色をしており、ひげがない。鯉に似ているが、背ビレが鯉と比べて小さくて丸っこい。
よく使われる四川料理:麻辣烤魚、紅焼草魚、水煮魚、酸菜魚など
4.ナマズ
中国語の標準名:鯰魚【nián yú、ニィェン・ユー】
四川地域の呼び方:鯰魚【nián yú、ニィェン・ユー】
紹介:世界各地の幅広い範囲で生息する、河川や湖沼に生息する肉食性の淡水魚である。外観は大きく扁平な頭部と幅広い口、上顎と下顎に長いと短い口ヒゲが1対ずつ、計4本口ヒゲがある。鱗がなく、体表はぬるぬるとした粘液で覆われている。肉食性、野生が多いが、人工養殖のナマズもある。水質汚濁に比較的に強い。中国料理でよく使用される。
よく使われる四川料理:麻辣烤魚、大蒜鯰魚、干鍋鯰魚、紅焼鯰魚など
5.フナ
中国語の標準名:鯽魚【jì yú、ジー・ユー】
四川地域の呼び方:鯽魚【jì yú、ジー・ユー】
紹介:地方名に「鯽瓜子」、「月鯽仔」、「土鯽」、「細頭」、「鮒魚」、「寒鮒」、「喜頭」、「鯽壳」、「河鯽」がある 。ユーラシア大陸において広く分布する淡水魚の一種。最大身長30cmほどで小骨が多いが、旨みが強く食感がよく、値段が安い。中国全国各地の淡水域に養殖され、毎年の2~4月および8~12月のフナが脂がのっておいしいと言われる。
よく使われる四川料理:豆瓣魚、黄燜鯽魚、藿香鯽魚など
6.タウナギ
中国語の標準名:鱔魚【shàn yú、シャン・ユー】
四川地域の呼び方:鱔魚【shàn yú、シャン・ユー】または黄鱔【huáng shàn、ホゥァン・シャン】
紹介:地方名に「黄鱔」、「鱓魚」、「羅鱔」、「蛇魚」、「血鱔」、「常魚」、「长魚」がある。中国の南地方に広く分布する。体は蛇のように細長く、鱗がない。色は深緑と茶色の2種類がある。通常は40cmほどで、昼間には水ぎわの泥の奥に静かにひそみ、夜に泳ぎ出て捕食する。夏に出て、冬に泥に深くもぐって冬眠する。食感はサクサクプリプリしていて、歯ごたえが強い。
よく使われる四川料理:紅焼鱔段、干煸鱔絲、爆炒鱔片、盤龍黄鱔、大蒜焼鱔魚など
7.コイ
中国語の標準名:鯉魚【lǐ yú、リー・ユー】
四川地域の呼び方:鯉魚【lǐ yú、リー・ユー】
紹介:アジア原産の大型淡水魚。中国での地方名に「鯉拐子」、「鯉子」、「毛子」、「紅魚」がある。鱗が大きく、外見が同フナに似るが、口もとに2対の口ヒゲがある。流れが緩やか暖かい川や池、沼、湖などに広く生息する。環境適応性が高く、生命力が極めて高い。食感がコリコリしているが弾力があって歯ごたえが良い。
よく使われる四川料理:干焼魚、紅焼鯉魚、麻辣烤魚など
8.ドジョウ
中国語の標準名:泥鰍【ní qiū、ニー・チィゥ】
四川地域の呼び方:泥鰍【ní qiū、ニー・チィゥ】
紹介:平野部の水田や湿地などに生息する小型淡水魚。細長い円筒状の体は粘液で覆われていて、全長は10–15 cm。口ヒゲは5対あって鱗がない。中国南地方に広く分布し、中国では、「水中人参(水中の薬用人参)」と称する事もあるほど、高い栄養価と解毒作用があるとされる。ふわふわプルプルした食感で、中国では薬膳食材として高い人気がある。
よく使われる四川料理:爆炒泥鰍、石鍋耙泥鰍、椒塩泥鰍、香炸泥鰍、水煮泥鰍など
9.コウライギギ
中国語の標準名:黄顙魚【huáng sǎng yú、ホゥァン・サン・ユー】
四川地域の呼び方:黄辣丁【huáng là dīng、ホゥァン・ラー・ディン】
紹介:中国では華南を中心に食用にされる。地方名として「黄角丁」、「黄骨鱼」、「黄沙古」、「黄辣丁」、「刺黄股」、「戈牙」、「昂刺」がある。全長123~143mm、最大300m程度で、鱗がない。口ヒゲが上顎、下顎に各1対、合計4本ある。プリプリした柔らかい食感で、中国では煮て食べる料理は多い。
よく使われる四川料理:黄辣丁魚火鍋、泡椒黄辣丁、麻辣黄辣丁、水煮黄辣丁など
10.ライギョ
中国語の標準名:烏鱧【wū lǐ、ウー・リー】
四川地域の呼び方:烏魚【wū yú、ウー・ユー】
紹介:中国から朝鮮半島、アムール川流域までのロシア沿海地方に分布する淡水魚。地方名に「黑魚」、「生魚」、「鱧魚」、「烏魚」、「才魚」がある。体は前後に細長い円筒形をしている。警戒心が強く、獰猛で攻撃的である。補助呼吸として『鰾呼吸』(空気呼吸)ができるため、長時間陸上に上がって蠢くことがある。小さいライギョが柔らかく程よい歯ざわりだが、大きいのは肉質は筋繊維ごとに薄くはがれ、鶏肉の様だといわれる。
よく使われる四川料理:酸湯烏魚、紅焼烏魚、溜烏魚片、麻辣烏魚片など
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中川正道、1978年島根県生まれ。四川師範大学にて留学。四年間四川省に滞在し、四川料理の魅力にはまる。2012年にドイツへ移住。0からWEBデザインを勉強し、フリーのデザイナーとしてドイツで起業。2017年に日本へ帰国。「人生の時を色どる体験をつくる」をテーマに妻の中川チカと時色 TOKiiRO 株式会社を設立。
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