About me
陳 琬蓥 (lea chen)、四川出身の四川料理マニア。中国語、日本語、英語をしゃべる好奇心旺盛で多趣味な人。ストレス解消法:「甜水麺」「葉兒耙」「蛋烘糕」「水煮魚」「干鍋兎」「肥腸粉」「麻辣烤鱼」「紅油水餃」「烤脳花」「鶏米芽菜」「粉蒸牛肉」を爆食いする。


 

中国全土で最も貧しい貧困地区に指定されている街

四川省涼山彝族自治州にある金陽県(きんよう)で作られている花椒が日本で新しいカタチとして、販売される。しかも多くの人たちが興味を持ってくれている。四川人のわたしたちにとったら、すごくうれしいこと!


このレポートは2020年6月に実際に成都から金陽県まで行き、取材をした記録です。

 

取材をしてわかったことは金の太陽花椒は

作り手の素朴な優しさと大自然の中で作られていること

・貧しさの中から必死に豊かになろうとする金陽県の人たち

「金の太陽花椒」はこういう人たちが作ってくれている、そんなことが皆さんに分かってもらえたらと思います。

 

 

【Day 1】成都から金陽県へ!11時間の道程

ー2020.06.19(金)

四川省と雲南省の間の山地に流れる金沙江の西側に位置する、人口の80%は彝族の金陽県。金沙江の向こうは雲南省の昭通市。

金陽県は四川省の最後の7つの国家級貧困県と言われている。

正直、成都育ちのわたしは行く前にその貧しさをまったく想像できなかった

「506kmの距離があり、成都から12時間くらいかかるかなぁ。土砂崩れなど起こったらもっとかかるかも。」

と案内してくれた金陽県青花椒合作社の楊さんが教えてくれた。

 

まだまだ交通が不便だな…と思った。

 

成都から出発したのは6月19日の朝6:00、散水車以外、何の音もしなかった。

 

雅安市から西昌市への雅西高速の途中、遠くから雪山が見えた。

 

山の中に架けられた高速道路。非常に壮観だった。

 

え?現金しか使えないの?

途中で休憩を取っていた涼山彝族自治州冕寧県の河辺郷。漢族のお婆ちゃんたちはパティシエのような青い帽子、イ族のお婆ちゃんたちは軒のような茶色の帽子をかぶっていた。何でと聞いたら「オシャレしたいから」と答えられた。

 

 

そんなかわいいお婆ちゃんが売っているスモモを買おうとしたら「現金しか扱っていない。」と言われた。成都のキャッシュレスな生活に慣れていたから、あまり現金を持ち歩いていない。2元/kgだったスモモを1kgしか買いたくなかったのに、20元の現金しか持っていなかった。

 

「お釣りが足りないからスモモはあげるよ!」と言われ、心を打たれた。そして、両手いっぱいスモモをもらって、20元をそのまま渡す。

 

成都から西昌市までは約6時間

高速道路から下りて、涼山州の州都西昌市でお昼休憩を取ったら、14:00から再出発。

「次は山間の国道で、西昌から金陽まで後6時間くらい。」この長い旅でちょっと疲れてきたと感じた。ただ、幸い、途中で彝族の壁画や、牛とろばの群れなど、高原でしか見れない風景を満喫して、意外と楽しい。

 

道端で焼肉と焼きじゃがいもの商売をしている彝族のおばさんたち。自然の中に育ったブタの肉がジューシーで歯応えがよく、塩、唐辛子と花椒のパウダーだけをかけた素朴の味が結構好きだった。

 

 

そして、金陽県までの最後の5kmのところ、土砂崩れに遭遇。

雨量が多い夏、このあたりを移動する際は気をつけた方がいい。幸いなことに、20分くらい待ったら、工事作業が終わり、道が再開された。「もうすぐ金陽に着くよ。」と楊さんが言った。

 

6時に出発し、19時にようやく金陽に到着!!

ホテルにチェックインして、荷物を置いた後、金陽の中心「県城」を回ってみた。

頭をスカーフで包んだのはイ族の女性、包んでいないのは漢族の女性と言われた。また、少子化が進む大都市と違い、街に子供が溢れている。大人より多い。

 

ここでは二人子政策じゃなく、夫婦2人で平均3~5人の子供がいるらしい。

 

漢族と彝族のおばさんたちが一緒に楽しむ光景

20時過ぎの夕暮れ、主な道が2本しかなかった小さな県城の唯一の広場で、広場ダンスが始まる。

中国のどこに行っても、これは避けられない夜のイベントだね。漢族と彝族のおばさんたちが一緒に楽しんでいた。

 

夜の広場に、御子連れも多かった。広場が賑やかになってきた。

 

広場の隅で葉たばこを吸いながら彝族語でおしゃべりしていたお爺ちゃんたち。何を言っていたかまったく分からなかった。(ここの人は彝族語と四川方言両方使っているようだ。)

 

Day 2 いよいよ金の太陽花椒の生産地へ!広大な青花椒の畑とは?!

ー2020.06.20(土)

金陽県の県城から青花椒合作社の畑までは2~3時間かかる。朝早く起きて、ホテルの隣の「金陽特色米線羊肉館」で朝食を食べた。

※合作社とは彝族の花椒農家が集まって出来た会社のこと

ここの看板に、すべて漢字と彝族の文字が載っているようだ。

 

お米の麺「米線(ミーシェン)」はこんな感じで沢山の薬味を入れて食べるスタイル。

何種類の唐辛子、ミントの葉、そしてもちろん金陽県産の青花椒の粉もあった。地の料理に関しては別途で記事を作成して紹介します!

 

目を開けられないぐらい強烈な山岳地帯の日差し

合作社までの途中で休憩を取っていた。日差しが眩しく、目を開けられなかった。

同行する合作社の女性社員は

「もう慣れてるから傘は要らない。後ろは金沙江で、向こうは雲南省だよ。」と笑った。

今山に登っているこの道は、2年前くらい政府が出資して作ってくれたそうだ。昔は土の道だった。

 

「着いたよ。今ここから見えるのは、すべて私たちの青花椒の木。」と言われた時、びっくり!こんなに険しい山が、本当に青花椒の畑なのか、信じられなかった。

 

「ここでどうやって収穫していますか?」

 

「そのまま坂に下りて、木の幹を掴んで、少しづつ手で摘んでいるよ!」

 

「私、この道の縁を歩いているだけで花椒がしびれでビビッと感じるのにさすがだ…」

 

すでに青花椒は実っているけど、まだ皮の下に油が溜まっていない。なので、収穫の時期じゃないそうだ。

「後1ヶ月太陽の光を浴びて、たっぷりの油をためた後、青花椒がキラキラ光ようになったら、一番おいしい。」と楊さんが微笑んだ。

 

実際に花椒を収穫している合作社の彝族の女性社員たち

美しく着飾った合作社の彝族の女性社員たちも迎えにきてくれた。刺繍の衣装と銀のアクセサリーは可愛かった。一番左の哈嗎么作啊木さんが、家にお昼ご飯を招待してくれた。

 

哈嗎么作啊木さんの家の後ろの山の斜面に、大きな桃の木があった。

彝族の少女がささっと木に登り、桃を摘んでくれた。「どうぞどうぞ、みんなで食べよう!」と爽快な笑い声が聞こえた。

 

哈嗎么作啊木さんの家から眺めたら、向こう山の絶壁にも小さな集落があった。こんな交通が不便なところに住んでいるから、経済の発展が遅れているんだね。

 

お昼は哈嗎么作啊木さん特製の鶏の煮込み

「炭火で焼いたほうがおいしいよ。」とお昼を支度しながら、哈嗎么作啊木さんが説明してくれた。「これは彝族の伝統的な調理法だよ。あまり鶏肉を細かく切れずに。」

出来上がった料理はこちら

彝族の伝統模様を描いたお皿で盛り付けた、炭火のちりが混ざった鶏料理。新鮮な青花椒をたっぷり使っているから、もちろん美味しかった!!

親切な彝族のみなさん、ご馳走様でした!

 

金陽県の県城に帰る途中、「雲南省まで連れて行こう!」と楊さんに言われ、10分後に濁った金沙江の上に架けられた橋の上に連れられ、雲南省からご挨拶のメッセージをいただいた。奇妙な体験だったね。

 

【人物取材】貧しい土地で30年青花椒の研究を行う範培民さん

「金陽県の青花椒産業に詳しい方にお話を聞きたい。」と合作社の楊さんに頼んだら、金陽県花椒生産辦公室の主任である範さんを紹介してくれた。青花椒の研究を行う専門家だから、すごく真面目で厳しそうな方ではないかと思っていたが、会ったらニコニコしてる優しい方だった。

 

取材している間、範さんの電話がずっと鳴っていて、止まらなかった。

 

「ごめんね!最近は本当に忙しくて、金陽県も早く脱貧困するため、みんな忙しいんだ。」

 

「大丈夫です!範さんも金陽県出身ですか?」

 

「いいえ、綿陽市出身だった。西南農業大学の植物保護系から卒業して1990年から金陽県で働くことになった。2002年から県の花椒生産辦公室に入って、今に至る。ここに来てもうそろそろ30年だね。」

 

「今でもまだまだ貧しい金陽県は、30年前はもっと貧しかったでしょうね。四川の2番目の大都市の綿陽市からここに来たのは何のためだったのですか?」

 

「確かに非常に貧しい地域で、産業もほとんどなかった。でも、ここに農業の人材が必要と聞いたら、私の技術は活かせると思って、迷わずに来た。貧しい地域だけど、一瞬も苦と思わなかったよ。私たちの努力で、青花椒の産業が成長し、みんなの生活が改善されてきたのは目で見えたから、非常に満足している。今県長より、私のほうが地位が高い(笑)村民から県長まで、青花椒に関しては何でも私に聞きいてくれます。」

 

「すごいですね!!ちなみに今日は土曜日ですが、まだ働いているのですか?」

 

「そうだね。去年から、特に今年は脱貧攻堅の年(貧困解決という最難関の攻略の年)だから、みんな週末に休みを取っていないんだ。でも、全然大丈夫!老百姓(民衆のみんな)は生活が豊かになるように、みんなやる気満々だから、私たちもサポートしてあげたい!

 

「お忙しい中、ありがとうございました!わたしたちも全力で金陽県の花椒をPRします!」

 

Day 3 脱貧困のため、休まず働く県のトップたち

ー2020.06.21(日)

日本向けに金陽県の花椒をPRしたい!と私たちの動機を聞いた龍局長。

 

取材日当日はなんと県の書記(トップ)とEコマースライブ配信をして、金陽産青花椒や青花椒油などの農産物をネットで販売すると。結果、視聴者はなんと400万人を突破し、大成功だった!!

 

金陽県書記毛正文さんの映像(中国語)

 

 

金陽県商務庁の龍里格局長の映像(中国語)

 

忙しい1日の仕事が終わった後、晩ご飯の時に龍局長は青花椒製品を加工する工場を投資した広東省の方、ライブ配信に協力してくれたチームに感謝の言葉を言っていた。私たちにも「日本にも宣伝してくれてありがとう!今日は忙しくて長く話せなく、すみません。明日時間があったらまた話しましょう!」と。

 

翌日金陽から成都に帰る時、電話してみたら、また「下郷」(村)へ行くとのこと。本当に忙しい!!

 

青花椒のおかげで大学を卒業、故郷へUターン。地元を盛り上げる若者たち(中国語)

 

 

山の外に出て、大学を卒業した金陽の若者の9割は、親が青花椒で作ったお金で支えていたのだ。僕もそうだった。親父は家の花椒の畑で青花椒を作り、ぼくを公務員の大学へつれていってくれた。ぼくは公務員となり、金陽県に戻り、青花椒の経済圏をつくり、街を豊かにしたい。

と龍局長が教えてくれた。

 

取材をした結果、わかったのは

 

近年、龍局長のように、故郷に戻り、青花椒の農業や産業を発展する新しい知識や技術を学び、故郷へUターン。発展に力を貢献したいと熱く思う若者たちが増えている。沢山の努力と皆の思いがつまり、この太陽に恵まれる土地は、きっとさらに豊かになると信じている。金陽、頑張れ!!

 

最後に

金陽県レポートはいかがでしたか?

 

交通の便も悪く、産業もない最貧地帯と指定された四川省涼山彝族自治州にある金陽県。名産物をつくり、チーム金陽が一丸となり、経済を皆で作っています。この発展を後押したい!と思ったので、おいしい四川では「金の太陽花椒」をPRサポートすることにしました。

 

毎日使っても飽きないほど、香りがよく、品質は抜群です。日本の多くの人がこの「金の太陽花椒」でしびれることを願っています!

 

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中川正道
中川正道、1978年島根県生まれ。四川師範大学にて留学。四年間四川省に滞在し、四川料理の魅力にはまる。2012年にドイツへ移住。0からWEBデザインを勉強し、フリーのデザイナーとしてドイツで起業。2017年に日本へ帰国。「人生の時を色どる体験をつくる」をテーマに妻の中川チカと時色 TOKiiRO 株式会社を設立。
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