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中国語で火鍋とは「火をつけて煮込む鍋料理」。シンプルな地鶏鍋、ヘルシーなキノコ鍋も広義では火鍋に属します。
伝統的な四川の火鍋は真っ赤な紅油火鍋
多くの人がイメージする真っ赤なスープの火鍋の発祥は重慶と言われています。始まりは今から約100年前の中華民国初期、当時のお金持ちは動物の内臓を食べずに捨てていました。
重慶の波止場で働いている労働者たちは、そんな捨てられた内臓を拾い、食べてみようと試みます。
内臓をきれいに洗い、においをとるため、たっぷりの唐辛子、花椒、ニンニク、 生姜などの香辛料を牛脂で炒めて香りを出し、鉄鍋でぐつぐつ煮込んでみると、予想をはるかに超えたおいしさに遭遇!
こうして火鍋は生まれ、今や中国全土で食べられる国民食にまでなりました。
病気を予防するという理由でも食べられている火鍋
辛い火鍋を食べるのは四川の食文化の一つですが、おいしさだけではなく、病気を予防するという理由でも食べられています。中国医学では、体に寒気があると病気のもとになるという考えがあり、その寒気のもとになるのは湿気が多い環境も関係していると言われています。
湿気の多い土地で暮らす四川の人たちは、唐辛子や山椒を大量にとることで、体の寒気を取りのぞき、健康を保とうと考えているのです。寒気を取り除くために汗だくになって激辛の火鍋を食べる、なんだか元気がでる予防法ですね!
火鍋の種類
四川の火鍋は赤く辛いスープ鍋を「紅油(ホンヨウ)」または「紅湯(ホンタン)」、辛みのない白いスープの鍋を「白湯(バイタン)」、紅湯と白湯を両方楽しめる鍋を「鴛鴦(ユエンヤン)」といいます。
今ではあちこちの火鍋店で見かける白いスープだし、実はまだ歴史が浅く、伝統的で四川の人たちから愛されているのは「紅油(紅湯)」です。そのため、四川人のみで火鍋に行くと、決まって食べるのは真っ赤なスープのみの紅油火鍋。
火鍋の食べ方
- しゃぶしゃぶをします。
簡単に火が通る鴨腸(家鴨の腸)、肥牛(牛バラ)、羊肉(羊スライス)、毛肚(センマイ)などを入れ、 - 肉、野菜系具材を入れる。
次に香菜団子(パクチー肉団子)、鱔魚(タナウナギ)、帯魚(タチウオ)など肉、魚系の具材を入れます。
このタイミングで、煮込むのに時間がかかる鵪鶉蛋(うずらの卵)や脳花(豚の脳みそ)を入れるのがコツ。 - 肉、魚系の具材に満足したら、次は野菜へ。
特にジャガイモは紅湯で煮ると辛みとうま味が浸み込み美味。ただし、澱粉が出て鍋底が焦げるので最後に入れます。 - ひと通り食べ、飲んだら最後のシメへ。
しっかり煮て味が染み込んだ脳みそはその席の客人にふるまうこと。そして、寛粉(薩摩芋の麺)を入れ、鍋に隠れている野菜、肉と一緒に食べます。 - もしご飯も食べたいという方は蛋炒飯(卵チャーハン)を頼みましょう。
ご飯一膳分から注文でき、最後のシメに最適です。 - 明日も食べたい!!持ち帰りたいという方
心置きなく店員さんに持ち帰りたいと言ってください。大体のお店でお持ち帰りすることができます。
「把火锅带走」(バーホォグオダイゾウ)
火鍋のつけダレの作り方
四川ではつけダレのことを「油蝶(ヨウディエ)」といいます。胡麻油をベースに自分好みのタレを作ってください。辛いのが苦手な人は黒酢を多めに。脂っこいのが苦手な人は胡麻油なしにしましょう。
胡麻油(ベース) | 大さじ3~4 |
黒酢 | 小さじ1 |
香菜 | たっぶり入れます |
オイスターソース | 少々 |
にんにく | 少々 |
塩 | 少々 |
火鍋を好きになるのは時間がかかる?
当時、成都に留学していた筆者は辛くて脂っこい火鍋が苦手でした。しかし、四川の友人たちと何度も火鍋を食べていく中で、辛さの免疫ができ、一年後には毎週一回火鍋を食べないと物足りない…と感じるぐらいの火鍋好きになっていました。
火鍋の魅力、おそるべし!