目次
- もっと多くの人に「多彩な四川料理の魅力とおいしさをを知ってほしい」
- レシピサイトやブログに投稿するも・・・
- これ以上先に進めない・・・
- 脱サラと、古くからの友人の助け
- WEBサイトオープン、本を出版したが事業化ができないジレンマ
- 風向きが変わり始めた 2016年、四川料理の達人として四川省から招待
- 四川料理の食べ手と作り手をつなげる麻辣連盟の発足
- 2017年、四川フェス初開催
- 2018年、取材協力した日経MJで「マー活」という言葉が生まれ、2018年夏にしびれブームが到来
- 四川フェス2018で成都テレビから『成都郷土料理文化宣伝大使』の称号を受領
- 2018年、四川省商務庁から依頼受け、四川省政府主催イベントに参加
- 2019年、空前の麻辣ブーム到来!
- 2019年、中国政府から招待され、成都熊猫亜州美食節に参加
- その後の展開
- 夢をあきらめず、カタチにしていく
もっと多くの人に「多彩な四川料理の魅力とおいしさをを知ってほしい」
自分に何か武器をつけいたいと、中国に留学を決めたのが、今から20年前のこと。2002年、貯めたお金で四川省の成都に留学し中国語を学びはじめました。23歳の時のことです。
留学先で資金が尽きたことで、日本に帰る選択肢もありましたが、四川にもうすこし滞在したいという思いがあり、日本語教師として働きはじめました。そこから、ご縁があり成都に本社をおくIT企業で働き始め、現地採用の月5万円という、当時の日本の同年代よりもはるかに低いお給料をもらいながら、4年間、毎日3食、中国人の同僚たちと四川料理を食べ続けるという日々を送りました。
このときは、まだ四川料理を日本に広めたいという想いは、1ミリもありませんでした。
しかし、勤めていた四川省のIT企業で東京勤務になり、四川を離れ、日本へ帰国後、
◎現地で食べていたような四川料理を食べれるお店が日本には少ない
◎その理由として、日本では麻婆豆腐、回鍋肉などがメジャーでその他の四川料理は知られていない
◎結果、お店の人たちも、日本の人が知っている料理しかだせない(知られていない料理は注文されない、売り上げが立たない)
ということを知ります。
四川料理ってめちゃくちゃ種類もあって、おいしい。麻婆豆腐、回鍋肉以外にも、すごくおいしい料理がたくさんある!その魅力を知ってもらう方法はないだろうか?
そう考えるようになりました。
レシピサイトやブログに投稿するも・・・
最初は、クックパッドにレシピを投稿したり、アメブロに料理の紹介をしたりしていました。ぽつり、ぽつりと見てくれる人がいて、仕事がおわったあとに自宅で料理をつくっては、投稿する日々がつづきました。
続けていく中で、ふつふつとした気持ちが湧いてきました。
でも、これだと、四川料理の全体像がわかない。
もっとわかりやすく、四川料理を紹介できるものをつくりたい!
そこで、Web制作の知識を学べば、情報を整理したサイトがつくれるようになるのではないか?と仕事の合間を縫ってWeb制作の学校に通うようになりました。
これ以上先に進めない・・・
しかし、サラリーマンを続けながら、本場四川の料理の情報をまとめようとしても、仕事が忙しくなり、残業の毎日。仕事して寝て生活するというのが精一杯で、サイトをつくるどころではありませんでした。
また現地に取材にいって、情報をまとめる必要もあり、これより先に進むには、決断をしないといけない時が来ていました。
当時、結婚したばかり、これまで7年間務めてきたIT企業では、昇進もきまったタイミングで、自分のやりたいことを貫くために、仕事を辞めるのは、良いのか悪いのか、とても悩み、結果的にプロジェクトを進めるために会社員を辞めるという決断するまでに2年の時間が必要でした。
脱サラと、古くからの友人の助け
後押ししてくれたのは、四川に留学したいたときに、ルームシェアをしていた張勇(ジャンヨン、中川の左隣)の存在でした。張勇は、四川省達州の出身で、食にくわしく、さらにぼくらとの出会いをきっかけに日本に興味を持ち、その後、日本語専攻の大学院にはいり、学校のシステム管理者として働いていました。
張勇に5年ぶりに再会し、
世界で一番わかりやすく整理されている四川料理の専門サイトをつくりたいと思っているんだけど手伝ってほしい
そう話すと
ちょうど、数か月後から学校が休みに入る。2カ月なら取材につきあえるぞ
と、拍子抜けするほど、協力を快く申し出てくれたのです。表では、笑っていましたが、内心涙がでるほど、心強かったです。
【中国語】 https://meiweisichuan.me/cn/
【レシピ】https://sisen-recipe.com/
【現地情報】https://meiweisichuan.jp/
そこから、脱サラを決め、張勇をはじめとする、その他の留学時代の中国人の友人たちに声をかけ、現地レストランの選定、取材、撮影、記事を書くという、一大プロジェクトがスタート。
取材したお店は、一般的なガイドブックには載っていないローカルな店がほとんど、地元の人に愛されている老舗や、こだわり料理を出す人気急上昇中の店など、選りすぐりの店を紹介。
取材は本当に楽しく、たくさんの店主との出会いがありました。急な取材の申し出に、怪訝そうな面持ちの方もいれば・・・取材に来てくれてありがとう!と丁寧に対応してくれる方まで様々。
そして、念願であった日本初となる四川料理に特化した専門サイト「おいしい四川」を完成させることができました。現地での取材、撮影、翻訳、Webサイトを一人でコツコツ作成。構想から3年、僕は34歳になっていました。
その後、出版社さんを探し、2014年に「涙を流し口から火をふく、四川料理の旅 (KanKanTrip) 」を出版。多くの四川料理人さんと四川料理マニアの方が手に取ってくれました。
WEBサイトオープン、本を出版したが事業化ができないジレンマ
しかし、自分のやりたいことをやれている幸せはあるものの、会社を辞めて四川プロジェクトにどっぷりの日々。
情熱のあることを追い求めれば、それはいつか仕事になるものだと信じていましたが、四川料理プロジェクト自体からの直接的な仕事は生まれず、どうしたものか?と悩んでいました。
妻と結婚して3年、食いぶちもない状況をどうにかしたくて、四川プロジェクトをやる中で、身につけたWebサイト制作を仕事にしようと、HPを立ち上げ、WEBサイトの制作依頼をぽつぽつと受けるようになりました。
しかし、結果的にWEBデザイナーとして、クライアントの仕事はするも、本当にやりたいこと「本当においしい四川料理を広める」という四川料理プロジェクトは、サイトをつくり本を出版して以来、まったく進まず、事業化も見えず、頓挫します。
・・・もう、これは、あきらめた方がいいと思いました。
風向きが変わり始めた 2016年、四川料理の達人として四川省から招待
そんな折、それまでの活動が四川省政府に認められ、2016年、中国国外に住む外国人で一番四川料理に詳しいということで、四川省政府から四川料理の達人として、招待されました。
あきめた方がいいと思っていた矢先で、ドキドキしながら四川省現地に向かいました・・
四川省から公的に四川料理の達人として、招待されたことをきっかけに、消えかけていた心に火が灯り、もう一度、ほんとうにおいしい四川料理を日本に広めようをミッションとした、四川料理プロジェクトを再開してみようと決めた瞬間でした。
構想から6年がたっていました。この時期から四川料理の専門家として、活動を本格的に再開。
四川料理の食べ手と作り手をつなげる麻辣連盟の発足
ここからは、不思議と良い出会いに恵まれ、四川料理を愛する仲間たちとの出会いが続きます。
麻辣連盟 | 四川料理を愛する仲間たち https://meiweisichuan.jp/malaparty
羊齧協会主席の菊池氏が入り麻辣連盟を発足し、赤坂四川飯店で発足イベントを開催したときには、赤坂四川飯店の陳建太朗さんが、とてもサービス精神旺盛で、場は大いに盛り上がりました。
意外だったのは、うんともすんともいわなかった四川料理メディア「おいしい四川」や本を見てくれていた方が、これだけの数、いてくれたこと。やると決めなければ、出会うこともなかったと思うと、本当にやってよかったと感じた瞬間でした。
2017年、四川フェス初開催
出会いをきっかけに、東京でフェスをやってみませんか?と羊齧協会の菊池さんに声をかけてもらい、一緒に四川フェスを開催することが決まりました。
けれど、これまで東京では中華に関するイベントでは集客に乏しく、
中華で人は集まらない‥絶対やめた方がいい
資金集めは難航しました。一転、店舗に関しては、一緒に四川料理を盛り上げましょう!と熱い気持ちで賛同してくださる方も多く、人がどれだけくるかもわからない、博打のような初開催の四川フェスに、たくさんの料理人さんたちが力を貸してくれました。
さらに、麻辣連盟のメンバーが、沢山の企業や人を好意で紹介してくれ、少しづつサポートしてくれる企業が増えていきました。
手に汗を握りながら迎えた当日。結果、誰もが予想しなかった1日で2.5万人が来場。中野のセントラルパークに人がどんどん集まってきてくれて、桜がさく晴天の下で、おいしいそうに四川料理を食べている姿をみたときは、奇跡のように感じました。
来場予想1万人をはるかに上回り、全店舗売り切れとなる大盛況となりました。
2018年、取材協力した日経MJで「マー活」という言葉が生まれ、2018年夏にしびれブームが到来
今年の一皿ではしびれ料理が惜しくも準グランプリ受賞。これまでやってきた四川料理プロジェクトが一つの形になった!!!と感無量でした。
四川フェス2018で成都テレビから『成都郷土料理文化宣伝大使』の称号を受領
2018年、四川省商務庁から依頼受け、四川省政府主催イベントに参加
2019年、空前の麻辣ブーム到来!
2019年「麻辣」がビックキーワードとなり、続々と商品が発売(2019年だけで30種類以上!)
2019年、中国政府から招待され、成都熊猫亜州美食節に参加
こちらはアジアで中国料理の魅力を広めている団体の代表を招待するというイベント。麻辣連盟総裁として、参加しました。
その後の展開
2020年、新型コロナの影響のため、オンライン四川フェスを開催。
2021年、四川フェス・スピンオフ麻辣グランプリを初開催。71社120商品がエントリー、大成功に終わる。
2022年、四川フェス@麻婆豆腐商店街を開催、4.5万人を動員。
2023年1月、四川フェスプレゼンツ「ウエノデ.パンダ春節祭」を開催。3日で15万人を動員。
2023年5月、四川フェス2023を開催、雨の中、3万人を動員。
と現在まで、ひたすら、コツコツと四川料理プロジェクトは続いています。2023年夏、麻辣が定着化し、麻辣(マーラー)という言葉は辞書にも掲載されました。
夢をあきらめず、カタチにしていく
23歳で成都へ留学し、四川料理にハマり、20年が経過し、僕も44歳になりました。もう20年も四川料理のまわりをウロウロしているのかと思うと、自分でも月日の流れに驚きます。
ただ好きで自分だけで楽しむだけでは、飽き足らず、「もっと多くの人に本当の四川料理の魅力」を伝えたいという気持ちだけが、行く先も見えないプロジェクトを進めてくる原動力となりました。
脱サラして、四川料理プロジェクトに専念したがうまくいかず、今後、どうするのか?と不安も広がり、もう四川料理プロジェクトは辞めよう・・と転職活動をしたことも、今となってはよい思い出です。
でも、そんなときも、心の中では、まだ続けたい、まだチャンスはあるはずだと必死で活動をしてきました。
その結果、沢山の四川料理を愛する人たちと出会い、賛同くださる企業と出会い、これまで四川料理プロジェクトを進める中で、培ったいろいろな経験やスキルが、結果として仕事につながるようになりました。
君の熱が仕事になるまで、これから10数年の月日がかかるよ、と、プロジェクトをはじめる当時の自分が知っていたら、正直やっていたかわかりません・・
でも、日本に四川料理を広めるという四川料理プロジェクトを通して、沢山の人との出会いと経験は、僕にとって一番の財産だなということは、強く思います。
この経験を活かし、僕なりのやり方で、今後も楽しい企画やイベントをしていこうと思います。
長文お読みくださり、ありがとうございます。
※四川料理プロジェクトの全貌はこちら https://lit.link/sichuan
※追記:2024年1月、四川省成都メディア『GO CHENGDU』新年特別企画として、これまでの四川料理の普及活動をまとめもらいました!
【動画ができました!】
成都メディア『GO CHENGDU』新年特別企画として、これまでの四川料理の普及活動をまとめいただきました!
奥さんからアルケミストを渡され「一度の人生、好きなことをしないと!」と背中を押され、始めた四川料理プロジェクト。… pic.twitter.com/7l8QMdUstj
— 四川フェス🔥 (@Amazing_Sichuan) January 12, 2024
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中川正道、1978年島根県生まれ。四川師範大学にて留学。四年間四川省に滞在し、四川料理の魅力にはまる。2012年にドイツへ移住。0からWEBデザインを勉強し、フリーのデザイナーとしてドイツで起業。2017年に日本へ帰国。「人生の時を色どる体験をつくる」をテーマに妻の中川チカと時色 TOKiiRO 株式会社を設立。
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