About me
2005年に中国初渡航、2010年より中国一人旅を始め、短期長期含めおよそ50回ほど渡航を繰り返し2019年8月に四川省宜賓市移住。 転機は2018年夏、8年間勤めた会社を退職し叶えた、38日間中国周遊旅行。ビザのトラブルでしばらく四川省に滞在することになり、しかしその結果四川に恋をする。それまでは中国どの地域にも思いは平等だったが、もう四川以外考えられずに海を渡り、現在に至る。


 

日本語教師の夏休み

教員という職業のおかげで長期休みがあるのは、ありがたいことです。中には休み中もずっと仕事をする!なんて人もいるとは思いますが、私はというと、休む気満々で迎えた7月の学期末でした。

 

7月20日から8月11日まで。23日間に亘り、居住する宜賓市と近隣の自貢市を周遊してきました。街から村まで山から川まで、暑さに倒れそうになったり、住民に温かく歓迎してもらったり、美味しいものに舌鼓を打ったり…。

本日は、先に訪れた自貢の旅を、ほんの一部分ではありますがご紹介したいと思います。

 

四川省南部の自貢市(ズーゴン)

自貢市は、四川南部の小さな都市です。小さな都市ながら特に四川好きに知名度が高いのは、なんといっても料理。美食の王国四川の中でも、自貢はまさに美食の都市です。

その自貢料理を支えるのは「塩」と「唐辛子」。自貢は、遥か昔から塩業で栄え塩業で成り立ってきた塩の産地なのです。

 

塩の産地「塩都」として栄えた自貢

 

今ではすっかり都市風景ですが、数十年も前には市内一帯が塩井戸でいっぱいだったそうです。ここは内陸部。海水や湖水から塩を採るのではなく、大地を掘り塩水を吸い上げ塩を精製していました。そのための井戸は、まるで天を突くかのような高さで、‟天車”と呼ばれていたそうです。

 

 

ほとんど姿を消した塩井戸、天車ですが、市内にはなんと未だに塩の生産を行っている場所があり、観光客にも開放されているということで行ってきました。

その名も、燊海井(シェンハイジン)。

入場する前から迫力を見せつける、天車。テコの原理を利用して、長い鉄棒を地穴に落とし、穴底を破壊して掘っていくものだというのです。テコの原理とはいえ、大変な肉体労働だったことは想像に難くありません。

 

 

燊海井を有名にしているのは、その深さです。

直径わずか11㎝のこの井戸には、清代1835年に1001.42mもの深さに到達した記録があり、これは人力で掘った穴として世界で初めて1000mを超えた記録とのこと。

この1000mを超える穴から塩水を吸い上げるところを見学しましたが、いつまで経っても鉄棒の先が現れず、また引き上げたかと思えば噴き出す塩水の迫力に、圧倒されました。

 

 

清代の工場ですが状態よく保存されており、また堂々と稼働していました。
塩水を炊く部屋を見学しましたら、無数の釜がぐつぐつとし室内はサウナ状態。工員の親父さんは上半身裸で扇風機の前で休憩しています。

 

工場の見学には入場料がかかりますが、内部には当時使用されたドリルやスポイト、それから竹製のパイプなど、自貢の歴史を覗き見ることのできる貴重なものがたくさん残されています。ちなみに、ここで生産された塩も購入可能です。

 

自貢で食べるべきおすすめの料理

1.しょっぱく激辛な兎料理「鮮鍋兎」

鮮鍋兎

 

こちらは市中心部で食べた鮮鍋兎(シエングオトゥ)。自貢料理の特徴は、しょっぱくて辛い!そして、兎料理が多いのも特徴です。
お店の人からは「食べきれないと思うよ」と他の料理を勧められたものの、堂々と完食。細かく切った兎肉には骨もあり、上品になんて食べてはいられません。骨をぺっぺっと吐き出しながら食べるのもまた、楽しさのひとつです。

店名:大安焼牛肉

場所:自貢市自流井区五星街珍珠寺社区8組288号

 

他の自貢のおすすめの兎料理

注文後に絞める!超新鮮な激辛ウサギ料理「璧山兔」

2.生姜が効いたカエル料理「仔姜田鶏」

仔姜田鶏

仔姜田鶏

 

こちらはその翌日に注文した仔姜田鶏(ズージァンティエンジー)。田鶏とは鶏肉ではなく、なんとカエル。生姜の風味がよく効いたカエル料理です。

 

私が初めてカエル料理を食べたのは安徽省でした。あの時には黒くてぶつぶつの皮がついたままぶつ切りにされていて、美味しかったものの見た目に驚いてしまった記憶があります。

 

一方、四川でよく食べられるカエルはこのように小さく、しかも皮もきれいに処理されていて、食感も見た目も字の如く鶏肉のよう。カエルに慣れない日本人でも抵抗なく味わえます。骨は細かいですが口の中でするりと剥がれ、これをまたぺっと吐き出します。

 

ただし、お会計の時に少し仰天しました。このお皿ひとつで200元(約3000円)近くしたからです。オーナーも注文時に「ちょっと高い」とは話していましたが…。後日他のお店で訊いてみたところ、この料理に使われるカエルが高いのだとか。四川の市場で網の中でぴょんこぴょんこと跳ねて売られているカエルにも、高い安いがあるんですね。

 

店名:劉幺妹夜宵

場所:自貢市自流井区同興路23号

 

成都で食べれる自貢のカエル料理

世界一辛い?カエルの激辛火鍋「自貢好吃客」【成都】

3.自貢の飲み屋街で食べる〆の麺

 

旅の楽しみは路地裏の隠れた名店を見つけること。しかし深夜まで飲めるお店というのが条件である私は、時に難しい選択を迫られます。市中心部には、初めの六晩滞在しました。結果私が毎夜のように訪れたのは、知る人ぞ知る名店ではなく飲み屋街

 

第一病院を過ぎた辺りにのびる同興路は、日が暮れると街路樹にイルミネーションが灯り、建ち並ぶ飲食店が競って露天席を並べる呑兵衛のための通りでした。

 

どのお店もがやがやと賑わい、通りを歩けば店員が次々と声をかけてきます。自貢料理あり、烧烤あり、ザリガニあり、そして嬉しかったのは、深夜まで営業する露天麵屋が数店舗あったこと。‟〆のラーメン”というのもここならアリです。強い白酒に疲れた胃。食べた雑醤麺はそれは美味しくて、美しさすら感じたほどでした。

 

 

 

ここには多くの自貢料理の飲み屋が建ち並びますが、観光客にとって便利なのは、お店の入り口にこのような写真付きで料理が紹介されていることです。入店するまでメニューがわからないのがちょっと…、自貢料理ってどんなものがあるのかわからない、そんな人もこうしたお店なら気楽です。

 

4.自貢のさらに地方にある「牛佛古鎮」名物の「牛佛烘肘」

自貢市中心部から田舎町へ移動する前日には、市区から40㎞ほど離れたところにある古い集落、牛佛古鎮へ行ってきました。
乗ってきたバスは現代建築の並びで停まり、「全然古い集落ではないよなぁ」とうろうろ。たまたまトイレを探しに下りた階段の先、目の前に広がる古びた瓦屋根を見つけた時には、それは驚きました。その先には川があり、川に向けて高低差があったので気づかなかったのです。

 

 

牛佛古鎮(ニュウフォーグージェン)ここはかつて水運で栄え、自貢で生産された塩を各地へ運ぶその拠点のひとつでした。自貢にはこのように、塩の生産だけでなく塩の物流で栄えた集落が他にも残っています。これもまた、塩の歴史。

 

 

散策してみれば、そこにあったのは人々の飾らない生活風景でした。観光客を待ち受ける様子もなく、ただ繰り返される毎日がその日も同じようにそこにはありました。

マージャンのじゃらじゃらとした音が響き、並んだ竹椅子に座りお茶を飲みながら世間話をする老人たち。食堂では休業時間に子供たちが勉強し、私が写真を撮りながら歩けば「なんだなんだ」と訝しげにこちらを見る人たち。

 

中国の田舎、その素の姿を覗くことができるとても素晴らしい古鎮でした。

 

古鎮好きな私のことで、今までたくさんの古鎮へ足を運びました。しかし実を言いますと今回ここへ来た目的は街並みよりも、こちらの料理、牛佛烘肘だったのです。

牛佛烘肘

 

 

歩き回り探しましたが、現在はどのお店も持ち帰り品のみのようです。入った一軒にお願いして、そこで調理してもらいました。

 

その姿を見て、正直な感想は「これは一体なんだ!?」

 

箸を入れると、感触がないほどにほろほろで柔らか。豚の腿をまるごと使った巨大な角煮料理でした。これは本当に美味しかったです。あまりに柔らかくあまりに濃厚で…。

 

しかしひとつ500gという大きさ。もう無理!と思いましたが、今思い出して食べたくなり、取り寄せようか迷い中です。

 

店舗:华利饭店

場所:自贡市牛佛古镇隆富路一心中医诊所旁边

 

このように、塩の都市、自貢を巡る旅の一部分をご紹介しました。この後は自貢の田舎を回り、そして旅の舞台は居住区である宜賓へ。

 

次回は宜賓で出会った風景をご紹介いたします。

 

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中川正道
中川正道、1978年島根県生まれ。四川師範大学にて留学。四年間四川省に滞在し、四川料理の魅力にはまる。2012年にドイツへ移住。0からWEBデザインを勉強し、フリーのデザイナーとしてドイツで起業。2017年に日本へ帰国。「人生の時を色どる体験をつくる」をテーマに妻の中川チカと時色 TOKiiRO 株式会社を設立。
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